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春日井敏之ゼミ

 教育は、一方通行の「操作」ではなく、教師と子どもや親などが、互いの人格を響かせあうダイナミックな双方 向性を持つ営みである。しかし、課題を抱え個別の援助を要する子ども、競争社会の中で子育てに悩み不安を抱える若い親、毎年教育課題が増える多忙化の中で ゆとりを失っている教師など、それぞれが孤立を深めているような状況がある。
 このような中で臨床教育学は、隣接する臨床諸科学に学びながら、新しい学問領域として教育実践と教育研究の統合を志向し、教育現場に深く関わりながら誕 生した。子ども理解を土台にして、学校教育や家庭教育における諸問題の解決を図る取り組みと同時に、その担い手である教師・親・子どもの主体としての成長 プロセスを研究テーマとしてきた。
 今日、学校教育や家庭教育のあり方が深く問い直されている。一方では、いじめ、不登校、少年事件、学級崩壊といった子どもの困難な状況が広がり、他方で は学力問題が「基礎学力」と「生きる力」の間で揺れ続けている。こうした状況を打開していく手がかりはどこにあるのか。教師と子どもと親の信頼関係をどう 形成していくのか。子どもたちは、学校や家庭に何を求めているのか。現代の子どもたちを心・身体と文化と人間関係の中で捉えながら、発達段階を踏まえた支 援関係のあり方について探求していきたい。
 同時に、子どもと教師と親が、共に育ちあう学校教育・家庭教育をどう作っていくのか。子どもと関わる教師や親の自己形成・自己変容プロセスを解明しながら探求していきたい。
 このゼミでは、文献研究と調査研究の双方を重視していく。できれば各自が一つ、どこかで子どもや青年と関わるフィールドを持ちながら、研究を深めていくことを期待している。

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